草履と雪駄の違いについて 更新日: 2022-04-22 投稿日: 2022-04-15 暮らしの知恵 みなさんは、草履や雪駄を履く機会はありますか。 草履や雪駄は、日本文化を顕著に表しています。一方、私たちの日常生活においては洋服も然りですが西洋文化が色濃く反映されています。 そのため、草履や雪駄を履く機会と言うのは限られているのではないでしょうか。 しかし、草履や雪駄には日本文化の良さが詰まっている履物であるため、その魅力は大きいものであると言えるでしょう。 履く機会が限定的ではあるかもしれませんが、趣のある履物として浸透しているのではないでしょうか。 本記事では、日本文化が色濃く反映されている草履と雪駄の違いについてご説明したいと思います。 目次1 草履とは?2 雪駄とは?2.1 革底2.2 サンド底2.3 アメ底2.4 ライト底2.5 ウレタン底2.6 タイヤ底3 草履と雪駄の違い4 まとめ 草履とは? 草履とは、みなさんがご存知のように履き物の一種として認知されています。 男女ともに履くものであり、いわゆるユニセックスに該当します。 草履を構成する主たる材料は、昔では檳榔樹・藺・竹の皮・稲藁といった葉・茎・イ草などを使用して造られていました。 最近では、合皮や革や布製のもの草履の材料として用いられることも多くなっており、靴底の材料はメインとして牛革・クロムなめしのクローム革や象皮のものがあったりします。 草履の構造は、足を乗せるための台部および簡単に脱げてしまわないように足の指先・甲のあたり密着させる鼻緒があります。 鼻緒のすげ方によって、芯緒草履と菅緒草履の種類があります。 草履の歴史は古く、平安時代中期において草鞋を改良したものが草履の発祥とされています。 青森県にある津軽地方や岩手県の南部地方では、畑仕事および家の内外において利用していたようです。また、昭和10年頃までは学校で履いていた地域もあります。 草履は、下駄よりも格式が高い履き物として扱われています。 現代においては、草履を含めた和靴よりも洋靴の方が一般的ですが、洋靴が日常生活に浸透するまでの明治時代以前は主たる履物として利用されていました。 今となっては振袖・留袖・訪問着等のフォーマル和装時において履くことが多く、 靴底台である重ね芯の枚数がたくさんあるほど、正装向きと言われています。 雪駄とは? 雪駄とは、草履と同様に履物の一種として認知されています。 雪駄においては女性物はなく、男性物のみとなっています。 竹皮を使用した草履の裏側に獣皮を張って、踵に鉄片を打ち据えた履物です。 俗説では、千利休が雪のさいの露地用に考案したと言われていますが、実際は平安時代において貴族や武家の社会で用いられていた履物です。 雪駄は、「雪」という文字が入っていることからも連想しやすいように水に強い履物です。 防水性に非常に優れており、使用シーンは雨天時や積雪時に履くものとされています。 耐久性も非常に高く、経年劣化に伴う損傷などにも強いことから傷みずらく、湿気を履物内部へと通しにくいことが特徴的となっています。 上述したように、竹皮を使用した草履の裏側に獣皮を貼りつけていますが、これらの材質は防水性が高いことで有名です。 かかと部分にあしらわれている金具も意味があるものであり、尻鉄と称されています。この尻鉄によって、雨天時や積雪時においても滑りにくくしてくれる防滑性を高める効果があるのです。 雪駄は歩くときの音も特徴的であり、尻鉄が歩くときに接地面と触れることによってチャラチャラとした音を発生させます。 近年の雪駄では尻鉄があしらわれていないものも多くなっていますが、尻鉄の音を知っている人々の間ではこの音は粋なものとして扱われているのです。 なお、現代の雪駄は正装時用と普通時用に分類されており、鼻緒色および素材などで分類されています。 雪駄にも種類たくさんあり、基本的には靴底の材質で分類されています。具体的な靴底の種類とそれぞれの特徴は次のとおりです。 革底 昔から使用されている伝統的な靴底です。正式な場においても問題のない高級な雪駄として扱われています。素材の特性上、水に弱い弱点があります。 サンド底 軽量であり価格が安いことが特徴的です。素材は柔らかく履き心地は良いと言えるでしょう。日常的にはサンダルとどうように履くことができますので、手軽であるといえます。なお、耐久性が若干弱い側面があります。 アメ底 雪駄の名に恥じない、滑りにくい素材となっていますので雨天時や積雪時にぴったりと言えるでしょう。耐水性が非常に高く、砂利道といった未舗装部分においても石がめり込むことがありませんので、悪路にも十分応できる雪駄です。 ライト底 革底を使用している雪駄の代替品として扱われています。薄くて持ち運びが容易であることから、外出先などに持って行くのに便利であると言えるでしょう。なお、クッション性があまり良くない側面があります。 ウレタン底 摩耗に対するすり減りがあまり発生しないのが特徴的です。耐水性も大きく期待できることから雨天時や積雪時においても問題なく使用することができるでしょう。 タイヤ底 耐水性・防滑性に優れており素材としては非常に良いものとなっています。機能性が良いこともあり、お祭りなどで頻繁に使用されています。 草履と雪駄の違い 草履と雪駄の明確な違いについてですが、まず雪駄とは草履が変化したものですのであくまで草履の一種としてご理解頂きたいと思います。 そのため、草履と雪駄は極めて大きく違いがあるわけではありません。 草履と雪駄の共通点は、表部分においてに革・合成皮革・畳などを使用しているところです。 靴底は革を張って構成されており、鼻緒があしらわれています。大きな分類項目として草履の中に位置付けられている雪駄ですが、雪駄として扱われるための条件がいくつかあります。 大きく項目分けすると、表部分の素材が竹皮・籐といった草で構成されていることでしょう。 また、表部分と底靴の間にある重ね芯の枚数が少ないことです。 これらの説明からも分かるとおり、草履と雪駄を簡単に区別するための項目として重ね芯の枚数と裏側を確認すると違いが分かりやすいと言えるでしょう。 具体的には、雪駄の重ね芯は草履の約33%以下となっていますので、靴底が薄ければ雪駄に該当するということです。 イメージとしては、浴衣など和装の男性が履いている薄い履物が雪駄であり、振袖など和装の女性が履いている分厚い履物が草履であると考えると分かりやすいのではないでしょうか。 また、草履と雪駄における材質・底・用途・性別の違いは次のとおりです。 草履 雪駄 表の材質 草/竹皮 草/竹皮 底 平ら かかと部分に金具 用途 フォーマル 雨天時/積雪時 性別 男女 男性のみ まとめ ここまで、日本文化が色濃く反映されている草履と雪駄の違いについてご説明をさせて頂きました。 草履と雪駄とは、共通点が非常に多いですが似て非なる物であることがご理解頂けたのではないでしょうか。 また、昔ながらの履物であるため日本人にとっては馴染み深い履物であることが改めてご理解頂けたのではないでしょうか。 草履や雪駄は、イ草などが使用されているものもたくさんあります。イ草は、吸湿性などが非常に優れていますので機能的にも良いものであると言えるでしょう。 デザイン的にも昔ながらの和風テイストがたくさん盛り込まれている履物であるため、是非とも楽しんでいただきたいと思います。 今後、草履や雪駄の購入を検討する方にとって本記事が少しでも一助となったのであれば幸いです。 The following two tabs change content below.この記事を書いた人最新の記事 イケヒコ編集部 イケヒコ公式オンラインショップのブログを2021年6月より開設しました。 インテリアのお手入れ方法や、おすすめ商品の紹介、コーディネートの提案などを中心に情報発信しております。 会社概要を見る > 最新記事 by イケヒコ編集部 (全て見る) 福岡おもちゃ美術館×イケヒコのコラボイベント 「い草枕作り」ワークショップレポート - 2024.03.13 ものづくりラボ‐room1- - 2024.02.27 無垢床×い草で最高にリラックスできるおうち-インテリアコーディネーターがつくるナチュラルな暮らし- - 2023.12.28 関連記事: 子供部屋におすすめのラグ・カーペット【防音・衛生面・ケガ防止】 和室の和モダンスタイルのインテリアのつくり方の5つのポイント 【簡単】引っ越しが決まったら!引越し手続きの順番 理想の家を建てるために必ず確認したいポイントと2つの注意点
みなさんは、草履や雪駄を履く機会はありますか。 草履や雪駄は、日本文化を顕著に表しています。一方、私たちの日常生活においては洋服も然りですが西洋文化が色濃く反映されています。 そのため、草履や雪駄を履く機会と言うのは限られているのではないでしょうか。 しかし、草履や雪駄には日本文化の良さが詰まっている履物であるため、その魅力は大きいものであると言えるでしょう。 履く機会が限定的ではあるかもしれませんが、趣のある履物として浸透しているのではないでしょうか。 本記事では、日本文化が色濃く反映されている草履と雪駄の違いについてご説明したいと思います。 目次1 草履とは?2 雪駄とは?2.1 革底2.2 サンド底2.3 アメ底2.4 ライト底2.5 ウレタン底2.6 タイヤ底3 草履と雪駄の違い4 まとめ 草履とは? 草履とは、みなさんがご存知のように履き物の一種として認知されています。 男女ともに履くものであり、いわゆるユニセックスに該当します。 草履を構成する主たる材料は、昔では檳榔樹・藺・竹の皮・稲藁といった葉・茎・イ草などを使用して造られていました。 最近では、合皮や革や布製のもの草履の材料として用いられることも多くなっており、靴底の材料はメインとして牛革・クロムなめしのクローム革や象皮のものがあったりします。 草履の構造は、足を乗せるための台部および簡単に脱げてしまわないように足の指先・甲のあたり密着させる鼻緒があります。 鼻緒のすげ方によって、芯緒草履と菅緒草履の種類があります。 草履の歴史は古く、平安時代中期において草鞋を改良したものが草履の発祥とされています。 青森県にある津軽地方や岩手県の南部地方では、畑仕事および家の内外において利用していたようです。また、昭和10年頃までは学校で履いていた地域もあります。 草履は、下駄よりも格式が高い履き物として扱われています。 現代においては、草履を含めた和靴よりも洋靴の方が一般的ですが、洋靴が日常生活に浸透するまでの明治時代以前は主たる履物として利用されていました。 今となっては振袖・留袖・訪問着等のフォーマル和装時において履くことが多く、 靴底台である重ね芯の枚数がたくさんあるほど、正装向きと言われています。 雪駄とは? 雪駄とは、草履と同様に履物の一種として認知されています。 雪駄においては女性物はなく、男性物のみとなっています。 竹皮を使用した草履の裏側に獣皮を張って、踵に鉄片を打ち据えた履物です。 俗説では、千利休が雪のさいの露地用に考案したと言われていますが、実際は平安時代において貴族や武家の社会で用いられていた履物です。 雪駄は、「雪」という文字が入っていることからも連想しやすいように水に強い履物です。 防水性に非常に優れており、使用シーンは雨天時や積雪時に履くものとされています。 耐久性も非常に高く、経年劣化に伴う損傷などにも強いことから傷みずらく、湿気を履物内部へと通しにくいことが特徴的となっています。 上述したように、竹皮を使用した草履の裏側に獣皮を貼りつけていますが、これらの材質は防水性が高いことで有名です。 かかと部分にあしらわれている金具も意味があるものであり、尻鉄と称されています。この尻鉄によって、雨天時や積雪時においても滑りにくくしてくれる防滑性を高める効果があるのです。 雪駄は歩くときの音も特徴的であり、尻鉄が歩くときに接地面と触れることによってチャラチャラとした音を発生させます。 近年の雪駄では尻鉄があしらわれていないものも多くなっていますが、尻鉄の音を知っている人々の間ではこの音は粋なものとして扱われているのです。 なお、現代の雪駄は正装時用と普通時用に分類されており、鼻緒色および素材などで分類されています。 雪駄にも種類たくさんあり、基本的には靴底の材質で分類されています。具体的な靴底の種類とそれぞれの特徴は次のとおりです。 革底 昔から使用されている伝統的な靴底です。正式な場においても問題のない高級な雪駄として扱われています。素材の特性上、水に弱い弱点があります。 サンド底 軽量であり価格が安いことが特徴的です。素材は柔らかく履き心地は良いと言えるでしょう。日常的にはサンダルとどうように履くことができますので、手軽であるといえます。なお、耐久性が若干弱い側面があります。 アメ底 雪駄の名に恥じない、滑りにくい素材となっていますので雨天時や積雪時にぴったりと言えるでしょう。耐水性が非常に高く、砂利道といった未舗装部分においても石がめり込むことがありませんので、悪路にも十分応できる雪駄です。 ライト底 革底を使用している雪駄の代替品として扱われています。薄くて持ち運びが容易であることから、外出先などに持って行くのに便利であると言えるでしょう。なお、クッション性があまり良くない側面があります。 ウレタン底 摩耗に対するすり減りがあまり発生しないのが特徴的です。耐水性も大きく期待できることから雨天時や積雪時においても問題なく使用することができるでしょう。 タイヤ底 耐水性・防滑性に優れており素材としては非常に良いものとなっています。機能性が良いこともあり、お祭りなどで頻繁に使用されています。 草履と雪駄の違い 草履と雪駄の明確な違いについてですが、まず雪駄とは草履が変化したものですのであくまで草履の一種としてご理解頂きたいと思います。 そのため、草履と雪駄は極めて大きく違いがあるわけではありません。 草履と雪駄の共通点は、表部分においてに革・合成皮革・畳などを使用しているところです。 靴底は革を張って構成されており、鼻緒があしらわれています。大きな分類項目として草履の中に位置付けられている雪駄ですが、雪駄として扱われるための条件がいくつかあります。 大きく項目分けすると、表部分の素材が竹皮・籐といった草で構成されていることでしょう。 また、表部分と底靴の間にある重ね芯の枚数が少ないことです。 これらの説明からも分かるとおり、草履と雪駄を簡単に区別するための項目として重ね芯の枚数と裏側を確認すると違いが分かりやすいと言えるでしょう。 具体的には、雪駄の重ね芯は草履の約33%以下となっていますので、靴底が薄ければ雪駄に該当するということです。 イメージとしては、浴衣など和装の男性が履いている薄い履物が雪駄であり、振袖など和装の女性が履いている分厚い履物が草履であると考えると分かりやすいのではないでしょうか。 また、草履と雪駄における材質・底・用途・性別の違いは次のとおりです。 草履 雪駄 表の材質 草/竹皮 草/竹皮 底 平ら かかと部分に金具 用途 フォーマル 雨天時/積雪時 性別 男女 男性のみ まとめ ここまで、日本文化が色濃く反映されている草履と雪駄の違いについてご説明をさせて頂きました。 草履と雪駄とは、共通点が非常に多いですが似て非なる物であることがご理解頂けたのではないでしょうか。 また、昔ながらの履物であるため日本人にとっては馴染み深い履物であることが改めてご理解頂けたのではないでしょうか。 草履や雪駄は、イ草などが使用されているものもたくさんあります。イ草は、吸湿性などが非常に優れていますので機能的にも良いものであると言えるでしょう。 デザイン的にも昔ながらの和風テイストがたくさん盛り込まれている履物であるため、是非とも楽しんでいただきたいと思います。 今後、草履や雪駄の購入を検討する方にとって本記事が少しでも一助となったのであれば幸いです。