い草は、畳の原料として古くから日本で親しまれてきた素材です。ただフローリングの家が増えた現代において、畳やい草に馴染みがないという方も少なくありません。

しかし近年、改めてい草に注目が集まっています。その理由は、い草の優れた効果にあります。

い草には、湿度調整空気清浄消臭抗菌など、私たちの暮らしを健やかにしてくれる嬉しい効果がたくさん備わっています。

SDGsに代表される、環境負荷の少ないエシカル(倫理的)な暮らしが求められる現代だからこそ、このようない草の機能性に注目が集まっているわけです。

この記事では、そんない草の魅力について詳しく解説していきます。

この記事を読んで、ご自身の暮らしの中でい草を使ってみたいと思われた方は、い草製品を扱うイケヒコ・コーポレーションのオンラインショップをぜひ覗いてみてください。

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そもそも、い草とは? 「畳」や「ござ」の原料となる単子葉植物

い草は、湿地や浅い水中で成長する単子葉植物(発芽のとき芽が1枚だけの植物)です。古くから世界中に自生し、その種類は300近くに及ぶと考えられています。

畳やござに使用されるのは、い草の茎の部分。長いもので150cm近くも成長するこの茎を刈り取って、畳やござが作られます。

熟練の職人たちの手作業によって織り上げられた畳表や花ござは、どれも逸品揃い。日本の伝統文化「TATAMI」として世界中の人々からも注目を集めています。

い草の歴史と主要生産地。国産と外国産の違い

人類がいつ、い草を暮らしの中で使用するようになったかについては、定かではありません。ただ少なくとも日本人は、弥生時代からい草を現代の布製品のように暮らしの中で使用していたのではないかと考えられています。

日本国内では熊本県がい草の産地として知られ、現在国産い草の9割以上は同県で生産されており、生産量も日本一となっています。

近年は外国産い草を用いた製品が主流となりつつありますが、国産い草の耐久性や弾力性、肌触りの良さは、外国産い草と比べると圧倒的に高いのが特徴です。

これは、外国国産い草と日本産い草の断面を顕微鏡で覗いた写真です。
外国産のい草
日本産のい草
見ての通り、日本産い草の方が中身はぎっしりと詰まっていて、しっかりとした印象を与えることが分かります。日本の肥沃な土壌と清らかな水によって、い草はこのようにしっかりと育つわけです。

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い草の中のスポンジが空気を循環させる

い草の一番の特徴としてあげられるのが空気の循環機能です。

い草1本1本の茎の内部は灯心(とうしん)と呼ばれるスポンジのような組織で構成されており、大量の空気を蓄えることができます。
い草の断面図
い草の断面(拡大)
さらに茎の表面には目に見えない小さな穴(気孔)が無数にあり、その穴を通じて空気を外部から吸収したり、放出したりすることができるのです。

つまり、い草は呼吸をしているわけです。

さらに、い草の灯心は空気中の水分や有害物質を吸着する機能も備えています。い草は呼吸をすることで、部屋の空気を循環させ、快適な空間を作り出すことができるのです。

い草が持つ5つの効果

ここからは、い草が持つ優れた効果について紹介します。

い草には、下記の5つの効果があります。
  • 湿度を調整する
  • 空気中の有害物質の除去と高い消臭
  • 森林浴と同等のリラックス効果
  • 弾力性があり衝撃を吸収する
  • 抗菌効果で足の臭い・水虫を予防
それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.湿度を調整する

い草は室内に置くだけでその部屋の湿度を一定に保つ、温度調節効果があります。

い草は、先ほど解説したスポンジ(灯心)を利用して、部屋の湿度が高いときには水分を吸収し、逆に部屋が乾燥しているときは吸収した水分を放出することで、部屋の湿度を調節してくれます。

その吸湿力は、6畳の畳で最大約1.8リットル分の水分を蓄えることができるほど。この吸湿力は、綿素材の約2.5倍と、他のインテリア素材に比べてダントツであることが分かります。

また、雨が降ったときの部屋の湿度も、畳やい草製品を使った部屋の方がフローリングの部屋に比べて上昇率が低いことが分かっています。
雨が降ったときの洋室と和室の湿度の変化の違い
このことから、畳・い草を敷いた部屋の方が、環境が安定して暮らしやすい上に、カラダにも優しいことがわかります。

またい草は寝具として活用するのもおすすめです。就寝中の汗や湿気を吸収することで布団の中の温度を保ち、朝まで心地よく眠ることができます。
このように、畳やござは、敷くだけで室内の湿度を一定に保ち温度を調整する天然のエアコンです。い草の高い吸湿性・放湿性により、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができます。

い草は、高温多湿な日本の気候に最適な、省エネ素材と言えるでしょう。

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2.空気中の有害物質の除去と高い消臭効果

い草は部屋の空気中の有害物質を除去し、部屋の空気をクリーンにする効果があります。

い草内部のスポンジが空気中の有害物質を吸着し、空気を綺麗にして排出してくれます。その効果は、ガスコンロや石油ストーブから発生する二酸化窒素を98%減少シックハウスの原因となるホルムアルデヒドなどの有害物質を78%減少と、どちらも高いパーセンテージで減少させてくれるほど。
空気中の有害物質の減少率
またい草は、暮らしの中で発生する汗臭、加齢臭、ペット臭、タバコ臭などの嫌な臭いを原因物質となるアンモニアや酢酸から減少させるなど、非常に高い消臭効果も持っています。

こちらの図は、い草の各臭いの原因物質への消臭効果を表したものです。どれも高い消臭効果を発揮していることが分かります。
い草の消臭効果を表した図
これらのい草の効果を実感したい人におすすめなのが、い草のフレグランスです。製織したい草を円柱状に巻きつけたい草のフレグランスは、小ぶりなサイズでありながら高い消臭効果を発揮します。
リビング、玄関先、お手洗い、車の中など、暮らしの中のさまざまなシーンでご使用いただけます。

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3.森林浴と同等のリラックス効果

い草が持つ独特のあの香りには、人をリラックスさせるアロマセラピーの効果があります。

「畳の部屋に入ると落ち着く」という経験をされた方も多いかと思いますが、それはい草の香りの主成分である「フィトンチッド」の作用によるもの。

実際の森の中で深呼吸をしたときに感じる気持ちよさも、実はこのフィトンチッドが関係しています。

つまり、い草を敷き詰めた畳の部屋では、森林浴と同様のリラックス効果が体験できるというわけです。

洋室であってもフローリングにい草マットや置き畳を敷く、デスクの上にい草の小物を置くなど、自分なりのリラックス空間を演出してみましょう。
また、い草の色もリラックス効果に寄与していることが分かっています。新品の畳の黄緑色も、日焼けした茶黄色も、安心感を与えたり、ストレスを和らげたりする効果があります。

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4.弾力性があり衝撃を吸収

い草はその内部に沢山の空気を蓄えており、適度な弾力性を持っています。フローリングと比較すると、転倒してもケガが少ないのが特徴です。

畳の場合、わらで作られた畳床(畳内部の芯に当たる部分)も弾力性に優れており、い草の畳表との相乗効果で高い衝撃吸収性を持ちます。

畳が持つ適度な弾力は発育期の子どものバランス感覚を養う効果もあり、万が一転んでしまっても衝撃を優しく吸収するため安全です。
い草は子どもにも安心な素材
特に国産のい草は内部の密度が高く、より高い弾力性を発揮します。

国産い草を使用した置き畳やい草のマットレスなどで、その効果を実感してみはいかがでしょうか?

また、クッション性の高いウレタン素材を使用した置き畳を使えば、より高い弾力性を実感することができるでしょう。

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5.抗菌効果で足の臭い・水虫を予防

い草はさまざまな有害微生物に対して抗菌作用を持っていることが研究により判明しています。

例えば、毎年ニュースで取り上げられる腸管出血性大腸菌O157や、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌など、食中毒の原因となる菌に対して高い抗菌効果を発揮することが研究により明らかになっています。

また、足の臭いの原因となる足臭微生物群や、水虫の原因となる白癬菌にも高い抗菌効果を発揮します。

足の臭いや水虫対策として、い草インソールを使用するのも効果的です。
い草インソールは、その高い吸湿効果で足のムレを軽減してくれるだけでなく、臭いや水虫にも高い効果を発揮してくれるでしょう。

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【まとめ】い草製品を使用してエコで快適な暮らしを!

い草は古くから日本で親しまれてきた素材でありながら、省エネやサステナビリティが意識される現代の志向にもマッチした素材です。

洋室だからい草製品は使いにくい、という方でもご安心ください。イケヒコのオンラインショップではフローリングにも馴染むい草ラグカーペット、い草クッションなどをご用意しています。

い草製品を暮らしに取り入れ、エコで快適な生活にお役立てください。

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イケヒコ編集部

イケヒコ公式オンラインショップのブログを2021年6月より開設しました。 インテリアのお手入れ方法や、おすすめ商品の紹介、コーディネートの提案などを中心に情報発信しております。

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