心地よい暮らしは足元から!ラグ、カーペットの素材について徹底解説

インテリアの主役ともいえるカーペット。足元に触れるその感触や、お部屋の空気を整える機能性の有無はすべて「繊維」の種類によって決まります。
しかし、いざショップに行くと、綿やポリエステル、ウール、ナイロン…と、たくさんの種類があって迷ってしまいますよね。湿度を調整してくれるものもあれば、汚れに強いもの、耐久性があるもの、コストパフォーマンスに優れたものなど特徴も様々です。
本記事では、長年カーペットの品質管理に携わってきたプロの視点から、カーペット素材の特徴を説明します。毎日を過ごす大切な空間をより快適で上質なものにするための「素材選びの教科書」としてご活用ください。
- 監修者
- 株式会社イケヒコ・コーポレーション 品質保証部
1995年品質管理部として発足。イケヒコ・コーポレーションで品質管理全体の管掌と、企画から消費に至るまでの品質保証も担当。 取扱商品の特性を熟知し、より長くご使用いただけるお取り扱い方法やお手入れ方法の検討を通し、お客様に安心してご使用いただける商品をお届けできるよう活動しています。
1. 天然繊維:肌に優しく風合い豊か
自然の恵みから作られる天然繊維は、独特の心地よい肌触りや、素材そのものが持つ調湿機能などが魅力です。ここでは代表的な4つの天然繊維をご紹介します。
① 綿(コットン)
衣類でもおなじみの綿は、人類にとって最も身近な天然繊維で、その歴史は紀元前5000年ころのインダス文明にまで遡ることができるようです。日本へは8世紀ごろ伝わり、江戸時代になって本格的に栽培されるようになったと言われています。その後は日本でも盛んに綿の栽培が行われていましたが、明治以降、海外の安い綿に押され現在ではほぼ100%輸入に頼っています。インド、アメリカ、中国などが主要な綿の産地です。
綿には大きく4つの品種があります。世界で一番広く生産されているメキシコ原産の「ヒルスツム」、ペルーが原産でスーピマ綿やエジプト綿として知られる「バルバテンセ」、インドやパキスタンが発祥と言われ日本にも伝来し栽培されていた「アルバレウム」、同じくインド、パキスタンが原産の「ヘルバケウム」です。現在では、栽培する土地の気候や病害虫の影響、栽培の効率化、収量の確保などの目的で品種改良が繰り返され様々な特性をもった品種が生み出され栽培されています。反面、このような品種改良を行わないオーガニックコットンも見直されています。
- 特徴: 自然素材特有の吸湿性やさらっとした優しい肌触りが綿の一番の特徴で、日本の気候風土にあった素材といえます。
- おすすめ: 「直接座ったり寝転んだりしたい」「肌が敏感な方や小さなお子様がいる」というご家庭にぴったりです。
コラム:オーガニックコットンが選ばれる理由
品種改良されていない種を農薬も化学肥料も使わない有機認証された農場で栽培した綿をオーガニックコットンと呼びます。オーガニックコットンの製品には畑だけでなく縫製工場にも有機認証が求められます。
品種改良された綿もオーガニックコットンも見た目は変わりませんし、製品になったあとの残留農薬にも問題になる違いはありません。それでもオーガニックコットンが見直されている背景には近年の環境問題や栽培に従事する農家の健康問題があげられます。品種改良された綿を栽培するために農家は大量の農薬や化学肥料を扱います。それが農家の健康に悪影響を与えていると言われています。また、これらの農薬や化学肥料が畑の土壌や水に悪影響を与えているとも言われています。農薬や化学肥料を使わないオーガニックコットンは土壌や生態系、水源に優しいだけでなく栽培する人の体にも優しく、まさしくサプライチェーン全体で人や地球に優しい綿と言えます。
② 麻(ジュートなど)
麻の歴史は古く、約1万年前から生活の道具として使用されていたと考えられています。日本においては縄文時代や弥生時代の遺跡から麻を使用していたと思われる痕跡が発見されています。古代の人類がどのようにして植物から繊維を取り出し糸を紡いでいたのかを考えるだけでも、人類の歴史は工夫の歴史でもあると考えさせられます。
麻と一言に言ってもいくつかの種類があります。草木には茎などの靭皮(じんぴ)から繊維を取り出すことができるものがあり、これを靭皮繊維と呼び、亜麻(リネン)・苧麻(ラミー)・黄麻(ジュート)・大麻(ヘンプ)がこれに含まれます。これとは別に葉脈からとりだした繊維からなるサイザル麻やマニラ麻もあります。どれにも同じように麻がつきますが違う植物から取れる繊維ですので、それぞれ性質も異なります。なかでも家庭用品品質表示法では亜麻と苧麻のみが麻と表示できると規定されています。麻はシャリ感があるため肌に涼感をあたえ涼しげな質感が魅力の素材です。
- 特徴: 通気性が良く涼しく、オリエンタルでナチュラルな雰囲気を演出します。
- 種類: カーペットには「ジュート(黄麻)」が多く使われます。
- 注意: 黄麻(ジュート)は繊維や紡績の都合上、製品になっても細かい繊維が出て衣服につくことがあります。また、繊維がかたいため皮膚にチクチク感じることもありますので、お肌が敏感な方は使用を避けたほうが良いかもしれません。
③ 羊毛(ウール)
羊から刈り取った毛から糸をつくるのが羊毛(ウール)です。羊毛は太古の時代から衣料その他の毛製品の原料として用いられてきました。秋冬衣料や制服、スーツ、寝装、インテリアなど広く用いられており、カーペットにおける最高級素材の一つです。羊毛の生産国は、中国、オーストラリア、ニュージーランドなどがあげられます。日本ではカーペット用ではないですが、豪州などの羊毛を輸入して紡績し織りあげる愛知県一宮市周辺の尾州ウールが有名です。
羊毛のなかでもメリノ種の羊の毛から糸をつくるものにメリノウールがあり、羊毛のなかでも高級品とされアパレルに使用されています。ウールは羊ですが、ヤギの毛を利用するものにカシミヤがあります。カシミヤヤギの毛からつくられる糸でこちらも主にセーターなどのアパレルに使用されます。
- 特徴: 消臭機能に加え、繊維の表面が天然の油分でコーティングされているため、汚れにくく、汚れても落ちやすいのが特徴です。
- 魅力: 冬は暖かく夏は涼しいため、一年中快適に過ごせます。
- 注意: 動物性のため虫害を受けることもあるため、防虫対策が施されたものを選ぶことや、日常や収納前のお手入れを念入りにすることが重要です。
④ 絹(シルク)
蚕(かいこ)の繭(まゆ)からとった繊維です。蚕の繭をお湯につけて柔らかくして取り出した繊維を生糸といい、これを様々な形で使用します。日本では弥生時代の遺跡から絹織物が出土していることから、弥生時代には既に養蚕の技術があったことが伺えます。明治時代には群馬県富岡市の富岡製糸場をはじめ各地で本格的に生産がひろがり一大産業になっていました。
絹には養蚕による「家蚕絹」のほか、ワイルドシルクと呼ばれる希少性の高い「野蚕絹」もあります。絹糸は光沢が美しく発色も鮮やかで、しなやかさと吸湿性にすぐれ「繊維の宝石」と言われることもある繊維の最高級品です。シルクでカーペットが織られるようになったのは17世紀のサファビィー朝ペルシャ(現在のイラン)というのが定説のようです。しかし、中国からシルクロードをつたってシルクが西に広がった紀元前2000年ころにはすでに絨毯は他の糸で織られていましたので、もしかすると伝わってきたシルクで絨毯を織っていたかもしれません。いずれにしてもシルクにもそれくらい古い歴史があります。
- 特徴: 美しい光沢と鮮やかな発色が最大の特徴です。
- 魅力: しなやかさと吸湿性にも優れ、シルクをつかったカーペットには独特の光沢がありワンランク上の空間を演出するには欠かせない繊維といえます。
■ まとめ:天然繊維の分類
天然繊維をその由来ごとに整理すると、以下のようになります。
| 分類 | 代表的な繊維 | カーペットにおける主な特徴 |
|---|---|---|
| 植物繊維(種子・靭皮など) | 綿(コットン)、麻(ジュート・リネン) | 吸湿性・通気性に優れ、さらっとした肌触り。春夏に最適。 |
| 動物繊維(獣毛・絹など) | 羊毛(ウール)、絹(シルク) | 保温性・調湿性・クッション性が高く、独特の光沢や風合いがある。 |
2. 合成繊維・化学繊維:高機能で使い勝手バツグン!
「耐久性」や「メンテナンスのしやすさ」を備えているのが化学繊維の魅力です。現代のカーペットの主流であり、用途に合わせて進化しています。
① ポリエステル
衣類でもおなじみの素材ポリエステルは1941年英国で羊毛の代替物として開発されました。コストパフォーマンスと見た目の美しさのバランスが良い繊維です。身近にあるペットボトル(PETボトル)は、ポリエステルの一種である「ポリエチレンテレフタレート(PET)」という樹脂を原料にして作られており、ペットボトルは使用後回収され、粉砕して溶かしポリエステル繊維に再生できます。またポリエステル素材の衣料なども同じように再生され再びシートなどの資源になります。
ポリエステルは強度、耐熱性、寸法安定性に優れ、主要合成繊維のなかで最も用途が広く、カーペットではパイルや基布、ニードルパンチ不織布などさまざまな用途に使用されています。
- 特徴: 繊維が強く天然繊維に比較して色落ちしにくく、カーペット自体を丸洗いできるものが数多くあるのもポリエステルの特徴です。生産量の多さや汎用性の高さからコストパフォーマンスに優れているのも特徴です。
- 魅力: 加工や仕上げ方法で柔らかな肌触り、滑らかな肌触り、しっかりした仕上がりなど様々な表情を見せてくれる繊維です。染めたりプリントしたり色や柄の表現も多彩で、様々な選択肢からお好みの一枚を選ぶことができます。
② ナイロン
ナイロンはアメリカで開発され、当初は歯ブラシのブラシ部分などに使われていましたが、やがてストッキングに用いられるようになりました。
合成繊維のなかでも強度や摩耗性が高く、その強度は産業用分野でもロープやベルトなどにも使用される繊維です。カーペット用繊維の中で、最も耐久性に優れているのがナイロンです。オフィスやホールなど土足で出入りするような場所のカーペットもほとんどがナイロンです。
- 特徴: 非常に摩擦に強く、劣化しにくい耐久性とシワになりにくいのが特徴です。
- おすすめ: 廊下やリビングなど、人の出入りが激しい(歩行頻度が高い)場所に適します。
③ アクリル
ナイロン、ポリエステルと並ぶ代表的な化学繊維です。ウールに似た感触と軽さ、そして「バルキー(かさ高)性」があり暖かいのが特徴です。ウールに似た感触を実現できるため、セーターやマフラー、毛布などに活用されています。繊維自体が強いことで薬品の影響や虫害を受けにくいのも特徴です。また、吸湿性が低く、水にぬれても乾きやすい特徴もあります。ウールと似た風合いやかさ高性を再現できますが、ウールより安価であることも需要が伸びている要因と言えます。
- 特徴: 嵩高(かさだか)でボリューム感があり、保温性にも優れています。薬品や日光に強いのも特徴です。
- メリット: 虫やカビの影響を受けにくく、ウールのような風合いをより手軽に楽しみたい場合に選ばれます。
④ ポリプロピレン(PP)
ポリプロピレンは私たちの身の回りのさまざまな製品に使用されているプラスチック素材で、ゴミ箱やバケツ、食品保存容器、家電製品など広範囲に使用されています。その繊維形態がポリプロピレン繊維で、不織布マスクや紙おむつなどに使用されています。素材自体は水に浮くほど軽く、また、ほぼ水を吸わないため濡れてもすぐ乾きます。
染色しにくいため色を付ける場合は他の繊維のように繊維になってから染めるのではなく、原料段階で目的の色をつけて繊維に加工します。ポリプロピレンは紫外線に弱い傾向があり、黄色く変色したり素材自体が脆化(ぜいか:弱くなること)したりしますので、直射日光が当たるような場所での使用や天日干しには注意が必要です。カーペットの素材としては、ウィルトンカーペットのパイル糸やPPカーペットとして用いられます。
- 特徴: 繊維自体が水分をほとんど吸収しないため、濡れても乾きやすく、汚れがつきにくい性質があります。
- おすすめ: PPカーペットは汚れても簡単に水洗いやお手入れができるので、ダイニングルームや、遊び盛りのお子様がいるお部屋、ペットのいるお部屋におすすめです。
|
イケヒコ公式オンラインショップで探す創業130年を超える老舗織物メーカー「イケヒコ」の直営オンラインショップ。今回ご紹介した天然素材(い草・綿・ウール)から高機能なナイロン・ポリプロピレンまで、プロが品質にこだわったラグ・カーペットを豊富に取り揃えています。 |
イケヒコ編集部
最新記事 by イケヒコ編集部 (全て見る)
- 夏用枕のおすすめ完全ガイド|ひんやり快眠を叶えるい草・冷感枕の選び方 - 2026.07.09
- 【2026年最新】プールマットの選び方とおすすめ4選|敷くメリットや素材の違いもわかりやすく解説 - 2026.06.30
- こたつと使える!イケヒコの新作ソファ「レグレス」開発担当者が語る4つの理由 - 2026.06.24



